US Original, MCAレーベルジャケ,若干の表面スレ在るがキレイな部類
お待ちど〜さま!の再入荷。
'80年代終盤から'90年代にかけてのUK SoulモノのUS進出には目を見張るものがあった。
モチロン、その代表格はSoul II Soul。
彼らの大ブレイクが、このLoose Endsを焦らせたであろう事は想像に難く無い。
'85年の大Hit "Hangin' On a String"で、
UK出身のグループとしては初めてUSのR&Bチャートで1位になったLoose Endsは、
'86年にも"Slow Down"が同チャートで1位になり、'88年には"Watching You"が同2位と、
第一線級の大活躍っぷりだった。
そんな彼らが'89年頃には分裂状態に陥ってしまう。
よりアグレッシヴな変化を求めたCarl McIntoshに対し、
紅一点のJane Eugeneと、グループの発起人であるSteve Nicholは、
従来どおりの路線をキープする事を主張。
UK発の大きな新しいウネリを前に、UK発の覇者までもが混乱した。
結局、Carl McIntoshのみを残して、2人はLoose Endsを離れてしまい、
Loose Endsの最後のAlbumとなった'90年の"Look How Long"は、
Carl McIntoshが新たに起用したメンツでリリースされた。
その急こしらえのグループも、短期間で解散してしまい、
Soul II Soulを筆頭にUK SoulモノがUS国内で猛威を振るう裏側で、
'80年代後半を代表するUK発のグループだったハズのLoose Endsは、
逆に、ひっそりと姿を消して行ったワケだ。
二度と再び姿を見る事はないだろうと思われていたLoose Endsは、
3人揃って'98年に、ワンオフで奇跡のリユニオンを果たす。
Pete Rockの"Take Your Time"だ。
https://www.youtube.com/watch?v=UnU56vTWIU0 (Pete Rock "Take Your Time" PV with Loose Ends)
クレジットには、FeaturingとしてCarl McIntoshとJane Eugeneの名前しか無いが、
PVにはちゃんとSteve Nicholも出てくる。
いかにも'85年〜'86年頃のLoose Endsっぽい、Artisticで落ち着いた横ノリ系Grooveに、
古くからのファンは目が潤んだに違いない。
じゃあ結局、Loose Endsは'85年〜'86年頃の作品群だけしか、評価の対象にならないのかというと、
それはゼッタイに違う。
'88年のAlbumだって内容は素晴らしいし、Nick MartinelliではなくCarl McIntosh自らがProduceを担当し、
メンバーチェンジをしてまで新しいタイプの曲作りに挑んだ、'90年のAlbumだって秀作だと思う。
要は、単に、売れたか売れなかったかの違いだけだ。
'90年のAlbumからのシングルであるこの"Love's Got Me"は、
'88年の、どちらかと言うばUS産的な音作りだったAlbumと比べると、打ち込みからしてかなりUK寄りだ。
つまり、Carl McIntoshは、当時のトレンドも加味したうえで、
よりUK的な音作りを目指したかったんだろうと思われる。
事実、'90年のAlbumはUKでは結構なセールスを記録し、逆に、USでは最悪の結果となった。
USリスナーよりもはるかに耳の良いUKリスナーには受け入れられたのに、
当時はGround Beatこそが旬のUKモノと考えられていたUS国内では、
Ground Beatでも無い、かといってNick Martinelli Produce作でも無い、
更にはメンバーチェンジ後のAlbumは、大衆の興味の対象外だったのだろう。
つまり、US国内で売れなかったのは、単に、トレンドという「風向き」による影響だけであって、
内容が劣る事を意味しているのでない。
むしろ個人的には、'85年〜'86年の作品群よりも、'88年〜'90年の末期モノの方が、単純に好きだし、
客観的/相対的に見ても、内容的に優れているようにさえ思うナ。
【仕様はDiscogsでチェック】
https://www.discogs.com/release/210985
【音はYouTubeでチェック】
https://www.youtube.com/watch?v=pmqQn1B7Ibs